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草野政眞という名前は大半の音楽愛好家にとって「その人、誰?」だろう。そういう反応になるのはムリもなく、市販されたCDは37年前の1枚だけ。首都圏の中規模音楽ホールでリサイタルを開催した最後の機会は20年以上も前だ。
しかし残された私的録音を聴く限り、私は「このまま忘れられてはいけない」と思うのだ。この数十年「楽譜に忠実な演奏」「作曲家の意図に沿う演奏」が追究され、結果としてピアニストの個性が希薄になってきた中で、彼は「楽譜を読んで自分が感じたこと」の表現を優先する。だから現代の誰とも似ておらず、敢えていえば19世紀末から20世紀初めに生まれたピアニストたちに通じるものがある。彼が小さい頃から家にあったSPレコードを愛聴していたことと無縁ではなかろうし、もはや桐朋学園大学卒業や師事歴等のプロフィールを記しても意味がなかろう。
彼は若い頃、チャイコフスキーやリストの協奏曲を文字通り驚倒してしまうくらいの勢いで弾いていた。ソロでもリストのソナタ、リスト編のタンホイザー序曲、ゴドフスキー編の芸術家の生涯などのヴィルトゥオーゾピースを録音で聴くと、少なくとも当時の著名ピアニストより上手く弾いていたように感じる。こうした演奏を展開しながら楽壇でさほど話題にならないままだったことが不思議なくらいである。今はそうした作品の演奏をライヴでは聴けないけれど、それに代わる濃厚な情緒がある。「懐が深くノスタルジックな味わいに満ちている」と書けば、少しは通じるだろうか?
彼は「絶滅危惧種」「日本孤立党党首」などと自称しているのだが、実際こうしたスタイルの演奏をライヴで聴ける機会はほぼ無くなったように思う。彼は「ピアニストらしいピアニスト」の最後の生き残り・・・だから「忘れられてはいけない」と思うのだ。
残念ながらほどほど高齢になられたため、これから何回でも聴くチャンスがある保証はない。まずは今回、ぜひとも聴いていただきたく思う次第だ。

プログラム

リスト:巡礼の年 第3年(全曲)
ショパン:マズルカ(数曲)ほか

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