太宰治『人間失格』~道化と狂気のモノロギスト~

おとがたり:朗読とヴァイオリンの世界

2019年11月16日() 15:00 開演

アトリエ第Q藝術1Fホール東京都

https://www.naoki-kita.com

長浜奈津子(朗読)と喜多直毅(ヴァイオリン)によるユニット”おとがたり ”による太宰治『人間失格』。

真実と虚実の谷間を彷徨う男一人。
虚ろな目に映るのは、過ぎ去っていく一切。

東北の田舎の裕福な家庭に生まれ育った葉蔵。厳格な父の存在と使用人による性的虐待が、彼の心に初源的な無力感と対人恐怖を植え付ける。彼にとって人間環境は過酷であり、そこを生き抜く術として葉蔵は人々の気持ちを先読みし、道化を演じる事により『気に入られる』ように務める。それは彼の恐れと弱さを覆い隠し、人々の好意を得るためには十分であったが、人を欺き続ける罪悪感も同時に強く抱えることになる。成人した後も人間恐怖は心の中で肥大し続け、激しく彼を苛むものとなった。他者に対する恐れ、不信感、諦めは、葉蔵を優しく庇う女性達に対しても抱かれた。やがて全てに絶望した葉蔵は死を希求する。このような精神状態が続く中、アルコールと薬物への依存は悪化し、遂に彼の人格は荒廃した。しかし発狂の後、彼の心にやっと初めての凪が訪れる。
 
物語が進むにつれ、葉蔵が徐々にモラルから逸脱し人として堕落していくのは明らかだが、一つ一つのエピソードに於ける彼の行動は、人間の恐怖から自分を守ること、“阿鼻叫喚”の世界で何とか生き延びることが動機となっている。全ては生きるため。
本公演は問いに満ちている。葉蔵は過ちを犯したのではなく、ただ悲劇の中に投げ込まれ道化の仮面をかぶることでしか生きられなかったのではないだろうか?彼は本当に人間として失格だったのか?そして私達は果たして『人間合格』なのであろうか?

出演:おとがたり
   
長浜奈津子(朗読)
  
喜多直毅(ヴァイオリン)

日時:2019年11月16日(土)14:30開場/15:00開演
会場:アトリエ第Q藝術1Fホール(成城学園)
   
https://www.seijoatelierq.com
東京都世田谷区成城2-38-16
   
03-6874-7739
料金:予約¥3,500/当日¥4,000
 
ご予約・お問い合わせ:
violin@nkita.net(喜多)

※メールタイトルは「おとがたり予約」、メール本文に《代表者氏名》《人数》《連絡先電話番号》を 必ずご記入の上、お申し込み下さい。

太宰治『人間失格』~道化と狂気のモノロギスト~

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コンサートについて

おとがたり
女優・長浜奈津子とヴァイオリン奏者・喜多直毅は2013年に朗読と音楽によるコラボレーションで初共演。同年、長浜による一人芝居でも共演。(なつきの会公演「 ある晴れた夏の日 ‐エルフとホビット‐ 」辰澤敦史氏書下ろし作品@六本木ストライプハウススペース)その後、文芸作品の朗読にフォーカスし、首都圏を中心に意欲的に活動を行なっている。これまで市川文学ミュージアム『永井荷風展 ~荷風の見つめた女性たち~』や船橋市の文化事業、都内ライブハウス等で公演を行なっている。
物語の持つファンタジーを声や楽器の音を通して空間にありありと描き出すために、即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行するパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている。

長浜奈津子
桐朋学園演劇科卒業後、劇団俳優座へ。女優、歌手として舞台に立ち、朗読公演にも多数出演。2013年11月より始まった六本木ストライプハウスにおけるひとり語り『朗読空間』シリーズは公演数二十九回を重ね、現在も継続中。この公演では、永井荷風、坂口安吾、泉鏡花、小泉八雲、小川未明、樋口一葉、宮沢賢治他、様々な文学作品を取り上げている。2016年より市川市文学ミュージアム『荷風忌』へ出演。2018年『永井荷風展~荷風の見つめた女性たち』企画公演「濹東綺譚」でヴァイオリニスト喜多直毅氏と共演。ライブでは情趣あふれる詩を語るなど、歌い、演じて語る女優として多方面で活動中。2019~20年俳優座劇場プロデュース公演、音楽劇『人形の家』へ出演予定。

喜多直毅
国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。他に黒田京子、齋藤徹との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・現代舞踏家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行う。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。

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