モーツァルト:ジュピターでは、第1楽章が清らかな水の流れを連想させ、人々に安らぎ
や感動を与える感じで、第4楽章がどっしりしていて、大掛かりな感じでした。各楽章の
楽曲に対する理解は深いのですが、楽章間の統一感はどうか、難しいところです。
メンデルスゾーン:宗教改革では、第1楽章が緩やかな前奏部と速いテンポの主部からなる
のですが、途中でテンポを落として、スコットランドの第1楽章が寺院の廃墟に着想を得
てコラールのような形で書かれていることを彷彿とさせる演奏になっている所が一風変わ
った工夫と感じました。続く第2楽章は可愛らしいと感じられる音色が聴こえて来る感じ、
第3楽章は涼やかな雰囲気のある音色が聴こえて来る感じで、最後の第4楽章が真摯さと
清新さを持っていましたが、この曲も楽章間の統一感はどうか、難しいところです。
つまり、第2・3楽章は標準的な演奏で、第1・4楽章が意欲的な演奏と思えるのですが、
第2・3楽章の楽曲と第1・4楽章の楽曲の関連性はどうかと言うことです。
相手の音に注意深く耳を傾け、理解しようとする能力について考えさせられる演奏会でし
た。
2025年07月06日 22:26