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音楽で人の力になりたい──『オンプラゾリステン』31年の絆が生んだ新たな社会貢献の形

2025/08/29

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音楽には、人と人をつなぎ、心を癒し、希望を届ける力がある。

そんな信念を胸に、31年間にわたって毎日音楽を奏でてきた演奏家たちがいます。2020年11月、コロナ禍で惜しまれつつ閉店した「銀座音楽ビヤプラザライオン」の演奏家メンバーが立ち上げた一般社団法人「オンプラゾリステン」。彼らは店舗での演奏という形を失いながらも、音楽を通じて社会に貢献する活動を続けています。

東日本大震災から始まったチャリティーコンサートは、これまでに29回開催され、現在も能登半島地震の復興支援として継続中。オペラ・オペレッタから親しみやすいクラシック、そしてお客様との掛け合いまで、ジャンルを超えた演奏で人々の心に寄り添い続けています。

「音楽でどうしたら人の力になるのか、常に考えながら活動している」と語る彼ら。活動に懸ける想いやこれからの挑戦について、瀧田亮子さん、浪川佳代さん、佐藤泰子さんにお話を伺いました。

オンプラゾリステン
2020年11月に閉店した「銀座音楽ビヤプラザライオン」の演奏家メンバーが設立した一般社団法人。新国立劇場をはじめ二期会や藤原歌劇団で活躍する歌手や、独自の世界観を持つ楽器奏者が多数所属し、オペラ・オペレッタの上演からチャリティーコンサートまで幅広く活動。31年間のライブ経験で培った技術と対応力、そして演者と聴衆が一体となるライブ感を特色としている。2011年東日本大震災翌年からチャリティーコンサートを開始し、現在まで29回開催。音楽を通じた社会貢献を使命とし、「音楽でどうしたら人の力になるのか」を常に考えながら活動を続けている。

——まず、オンプラゾリステン設立の経緯について教えてください。

瀧田私たちは元々、銀座7丁目のビヤホール、銀座ライオンの5階にあった「音楽ビヤプラザライオン」というお店で、31年間毎日ライブを行っていました。コロナ禍でお店が閉店してしまったのを機に、2021年に団体を立ち上げました。

31年続いた毎日のライブで培った技術や即興での対応力、そして何よりオリジナリティに溢れるエンターテイメント性は、私たちの唯一無二の強みです。新国立劇場をはじめ、二期会(公益財団法人東京二期会)や藤原歌劇団など、様々な場所で活躍する歌手や、ジプシーヴァイオリン、ジャズフルート、アルプス音楽など多彩な楽器奏者が多く所属しており、銀座ライオンの時代も現在も、数多くのオペラ・オペレッタを上演しています。

佐藤お客さんととにかく一体になるというステージを、いつもすごく意識してやっていたからこそ、通常のクラシックコンサートにはない魅力が出せると自負しています。

ビアホールという場所柄、お客様との距離も近く、音楽を通じてコミュニケーションを取ることが自然に身についていると思います。

——皆さんは、チャリティーコンサートを多数開催されていらっしゃいますが、これまでの経緯やどのような想いで実施されているかをお聞かせください。

瀧田2011年に東日本大震災が起こり、翌年からチャリティーコンサートを始めました。コロナ禍の配信コンサートを含めて25回、団体を立ち上げてからは今回で4回目の開催となります。

1回目はトンガの地震、2回目はシングルマザーの支援、そして3回目が2024年能登半島地震への支援でした。引き続き支援が必要ということで今年も能登半島地震復興支援のチャリティーコンサートを企画しています。

浪川もちろん長期的支援を被災地に届けるということも物理的に必要なことなんですが、チャリティーコンサートの意義として、やはり被災した事実を風化させないということが一番大事だと考えています。

例えば、東日本大震災はずいぶん過去のことのように感じられるようになってきていますが、実際にはまだ完全に復興したとは言えない状況です。こうした現実を語り継いでいくことが重要ですし、チャリティーコンサートのような企画を継続すること自体が、記憶の風化を防ぐ大切な役割を果たしていると考えています。

オンプラゾリステン Charity Concert Vol.4

日時:2025年10月23日(木) 19:00開演

場所:としま区民センター 多目的ホール(東京都)


「感動とは人間の中ではなく、人と人との間にあるものだ」
【曲】
・群青
・アメージング・グレイス
・【みんなで歌おう】歓喜の歌〜第九より
・【コール&レスポンス】HEY ババリバ
・【オペラ&オペレッタ】ドン・カルロ 友情の二重唱
ほか

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——皆さんがチャリティーコンサートを開く使命として、「記憶の風化を防ぐ」ということを大切にされているんですね。今回のチャリティーコンサートの見どころについて教えてください。

瀧田チャリティーコンサートなので、被災地の方々への想いが伝わるような曲を中心に選んでいますが、同時に来ていただいたお客様に純粋に楽しんでいただきたいという気持ちも大切にしています。

私たちは元々レストランでお客さんと一体になるステージを意識して演奏していたので、みんなで楽しい時間を共有するということを特色にしています。例えば、第九のメインのところをその場でレクチャーして観客の皆様と一緒に歌ったり、「コール&レスポンス」コーナーでは、お客様に掛け声を投げて返してもらったりということを予定しています。

佐藤ただ、そういう楽しいコーナーも設けつつ、しっかりと私たちの気持ちも聞いていただけるように、メリハリをつけてやりたいと思っています。去年も、暗い曲になりすぎないように、お客さんが最終的にワクワクするエンターテイメントであり続けるということを一番に考えていました。

チャリティーを意識すると、どうしてもセンシティブな曲が多くなりがちなんですが、明るい曲とうまくバランスを取ったおかげで、「楽しかった」という感想をたくさんいただけました。また、感動して泣いてくださる方もいらっしゃいました。

それぞれのお客様なりの受け取り方で楽しんでいただけたら嬉しいです。

また、前回に引き続き、会場のオーロラビジョンを使った演出を予定しています。去年は東京藝大の美術のOBOGたちがやっている「サポサポproject」という団体に協力していただきました。去年は能登の海の写真をバックに歌うという演出をしました。今回もそういった写真を使わせていただけないかと相談しています。

浪川そして、今回のチラシには「がんばろう能登」というシンボルマークを載せています。これは能登半島地震の復興のために金沢市のデザイナー葭田護さんがデザインされた《のとり》というマークで、
「復興のための活動で自由に使ってください」と言われています。

この鳥が能登の形をしていて、イラストの柔らかい感じが、能登の土地と人々の人柄の優しさや朗らかさを表現しているマークなんです。

——能登の方々に想いを馳せて、様々な工夫を凝らしたコンサートを作られているんですね。コンサートにはどのような方に足を運んでいただきたいですか。

瀧田私は豊島区在住なので、豊島区民センターで演奏させていただく時には、すぐ近所の飲み屋で会うおじさんや居酒屋のママさんなど、身近な方々に来ていただきたいと思っています。

ビアホールでは常連様は年齢の高い方が多かったのですが、できれば老若男女、様々な方に来ていただきたいです。特に若い方や子どもたちには、ライブを楽しんでもらい、クラシック音楽はそんなに難しいものではないということを体感してもらいたいです。

佐藤私たちの団体のみならず、クラシック界全体でお客様の高齢化という課題を抱えています。だからこそ、若い世代でも来やすいように、今回は大人4,000円、高校生以下は1,000円という設定にしています。お小遣いでも来られるような料金設定にしているので、ぜひ気軽に来場してみていただきたいです。

——最後に、オンプラゾリステンの今後の展望について教えてください。

瀧田「音楽でどうしたら人の力になれるのか」を常に考えながら、これからも活動を続けていきたいと思っています。

これまで30回近くチャリティーコンサートを重ねてきましたが、毎回テーマを決めて構成しています。所属しているメンバーそれぞれが豊かな個性と実力を持っているからこそ、私自身もプログラムのイメージが自然に湧いてくるんです。これは、長年培ってきたお互いの信頼関係があるからこそ実現できることだと思っています。

音楽には人と人をつなぎ、心を癒し、希望を届ける力があると信じています。これからも、その力を信じて、一人でも多くの方に音楽の素晴らしさを届けていきたいです。

浪川オンプラゾリステンの素晴らしいところは、メンバー同士はもちろん、少し離れた関係の方でも、困っている人がいると「少しでも力になれたら!」と、具体的な行動に移していくエネルギーがあることです。そこに私たちの存在意義があるのではないでしょうか。

——本日は貴重なお話をありがとうございました!

銀座の老舗ビヤホールから始まった31年の歩みは、コロナ禍という困難を乗り越えて新たな形に生まれ変わりました。

オンプラゾリステンの活動は、音楽が持つ力を私たちに思い出させてくれるでしょう。

クラシックは決して敷居の高いものではない。音楽は、誰もが楽しめる身近な存在であり、社会を変える力を持っている。そんなメッセージを、彼らは今日も奏で続けています。

(インタビュー・構成/松永華佳)

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