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ISP 第11回定期演奏会
オーケストラ・チェルカトーリ 第6回演奏会
2025/10/28
大阪を拠点に活動する「桃山ウィンドオーケストラ」は、吹奏楽界では珍しく、ジャズやポップスといったジャンルに特化し、異彩を放っています。 2001年に発足した同楽団は、団員わずか35名という少数精鋭ながら、「30名ほどの人数で奏でているとは思えない迫力」を持つ演奏で知られ、2025年2月には「シンフォニックジャズ&ポップスコンテスト全国大会」で初出場ながら金賞を受賞する快挙を達成しました。 コロナ禍を転機に「ポップスといえば桃山ウィンドオーケストラ」というミッションを掲げる同オーケストラの指揮者・中田慎哉さんに、少数精鋭だからこそ実現できるクオリティの高い演奏の秘密と、活動の哲学について伺いました。
——本日はよろしくお願いします!まず、桃山ウィンドオーケストラがどのような団体なのか教えてください。
中田大阪で活動する社会人バンドで、2001年の設立から来年で25周年を迎えます。もともとは私が大学生の頃に作ったバンドですが、OBバンドではなく、楽団のコンセプトに共感するメンバーが集まって活動しています。団員は、高校生・大学生から40代まで幅広い年代で、週1回の練習しかありませんが、合奏中心の練習スタイルで、集中的に演奏技術を磨いています。 現在はジャズやポップスに特化した演奏を行い、「とにかくクオリティの高いPOPS、迫力のある演奏」をお届けできるバンドにするため日々練習しております。
——今年2月にシンフォニックジャズ&ポップスコンテスト全国大会で金賞を受賞されましたが、初出場での快挙だったそうですね。
中田はい、初出場で金賞を受賞できたことは、私たちにとって大きな励みになりました。これまで13回開催されているコンテストでしたが、東京開催ということもあり、存在は知っていても出場を考えていませんでした。しかし、長年ポップスやジャズを演奏してきた実績があったので、今年思い切って挑戦してみることにしました。 金賞の上にはグランプリもあるので、次回はそこを目指したいです。
——初出場でしっかりと結果を収めているのが素晴らしいですね。コンテスト当日のこともお聞かせください。
中田初めての出場で右も左も分からない状況でしたが、とにかくいつも通り楽しんで演奏しました。ただ、当日は大雪で大変でした。私たちはギリギリ会場に到着できましたが、バスで参加していた他の団体は10時間以上かかったと聞いています。本当に厳しいコンディションでの開催でした。 また、100人規模の大編成が多いポップスコンテストの中で、私たちはかなり少ない人数でした。それでも認められたということは、私たちの方向性が正しいことの証明だと考えています。
——桃山ウィンドオーケストラは、ジャズ・ポップスに特化されているのが特徴的ですが、現在の方向性になったきっかけを教えてください。
中田コロナ禍で団員数が大幅に減少したことがきっかけです。以前は50〜60人ほどで活動していましたが、コロナを機に30人程度まで減少しました。 私自身がジャズドラムの経験もあり、このタイミングで、かねてより構想していたビッグバンドの楽曲を吹奏楽で演奏するという今の方向性が実現できると考え、始めました。 コロナ禍での人数減少は大きな転機でしたが、結果的に本当に音楽をやりたいメンバーが残ったと感じています。現在も、設立当初から25年近く活動を続けているメンバーが5、6名います。団長、各パートの主要メンバーをはじめ、ベテランメンバーが若い団員を牽引する体制が、今のクオリティを生み出していると考えています。
——コンサートの曲目はどのように決められているのですか。
中田全て私が一人で決めています。お客様に満足して頂けることを心がけており、皆さんが知っているようなジャズのスタンダード曲は必ず入れるようにしています。その一方で、少しマニアックで知られていない曲も織り交ぜて、バランスよく構成することを意識しています。
——来年は25周年を迎えられますが、記念企画などは予定されていますか。
中田正直、まだ具体的には何も考えていませんが、せっかくの節目なので何か面白いことができればと思っています。25年という長い歴史の集大成となるような企画を検討したいですね。
——11月29日に控えている定期演奏会「JAZZ & POPS STAGE 2025」についてもお聞かせください。
桃山ウィンドオーケストラ 19th Regular Concert
日時:2025年11月29日(土) 14:00開演
場所:クレオ大阪中央(大阪市立男女共同参画センター )ホール(大阪府)
詳細:https://www.concertsquare.jp/blog/2025/202509262895466.html
桃山ウィンドオーケストラの第19回定期演奏会は、「JAZZ & POPS STAGE 2025」と題し、ジャズやポップスに彩られたプログラムをお届けします。 第1部はスタンダードなジャズナンバーやラテンリズムが躍動します。 第2部では上原ひろみ作曲の難曲「Deep into the night」に挑戦。ゲストの高校1年生ピアニスト・ハチコちゃんによる超絶技巧ソロも必聴です。 ピーター・グレイアム作曲「キャッツ・テイルズ」ではニューヨークのジャズシーンへのオマージュを感じられ、楽しく聴き応えあるステージをお楽しみいただけます。
中田有名なビッグバンドの楽曲を吹奏楽で演奏するコンサートです。『シング・シング・シング』『A列車で行こう』『キャラバン』といったジャズの名曲を中心に構成しています。 特に注目していただきたいのは、ゲストピアニストの「ハチコちゃん」とのコラボレーションです。彼女はまだ高校1年生ですが、ストリートピアノのコンテストで優勝したり、今年10月に放送された「芸能界特技王決定戦TEPPEN」で優勝するなど本当に凄い方です!今回は、上原ひろみさんの『Deep Into The Night』という難易度の高い楽曲を共演してもらいます。
——ゲストのハチコちゃんはまだ高校生ということですが、どういう経緯でコンサートのゲストとして参加してもらうことになったのでしょうか。
中田今年4月に開催された「WHATAWON ジャズストリート」で初めてハチコちゃんに出会いました。 私たちが演奏した際、同じ時間帯に別のブースで演奏していたのがハチコちゃんだったんです。事前にYouTubeで演奏している動画を見て、その技術の高さに驚き、声をかけさせていただきました。 その後、私たちの演奏会を見に来ていただき、今回のコラボレーションが実現しました。
——偶然のご縁がきっかけだったんですね。今後の展望についても教えてください。
中田ジャズ・ポップス分野を極めることが目標です。一般的な吹奏楽コンクールではなく、ジャズポップスコンテストでの活動に特化し、「ポップスといえば桃山ウィンドオーケストラ」と言われるような団体になりたいと考えています。
——最後に、コンサートスクウェア読者の方に伝えたいことはありますか。
中田YouTubeチャンネルで演奏動画を配信しています。まだそれほど大きな反響はありませんが、私たちの音楽を多くの方に知っていただくツールとして活用しています。 演奏動画を中心に、団体の活動を紹介する内容を投稿しているので、ぜひご覧ください。
——本日はありがとうございました!
コロナ禍という試練を機に、新たな音楽的アイデンティティを見つけた桃山ウィンドオーケストラ。25年という歴史の重みと、35名という少数精鋭の機動力、そして次世代との出会いが生み出すケミストリー。 11月29日のステージでは、「大人の本気」がどのような音楽を響かせるのでしょうか。ジャズの心意気と吹奏楽の豊かな響きが融合した、彼らだけの「JAZZ & POPS STAGE」をぜひ体験してみてください。 (インタビュー・構成/松永華佳)
大阪の社会人吹奏楽団
中の人は、アマチュアオーケストラで打楽器をやっています