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浦安シティオーケストラ 第65回定期演奏会
フィルハーモニック・ソサィエティ・東京 10周年記念演奏会II
オーケストラ・チェルカトーリ 第7回演奏会
2026/05/16
1984年の創立から42年。横浜市南部を拠点に活動する横浜管弦楽団(通称・ハマカン)は、「一人では音楽は作れない」という創立時の精神を今も変わらず受け継ぐアマチュアオーケストラです。 指揮者が毎週の練習から本番まで一貫して指導するという珍しいスタイルを創立以来守り続け、取り壊しの危機から守り抜いた神奈川県立音楽堂を主舞台に演奏会を重ねてきました。今では親子三代にわたって関わる団員も生まれています。 そんな楽団が2026年5月10日、節目の第80回定期演奏会を迎えました。オールブラームスプログラムに込めた思いと、次の世代へバトンをつなごうとする楽団の今を、代表・上林忍さんに伺いました。
——まず、横浜管弦楽団がどのような団体なのか教えてください。
上林1984年、今から42年前に、当時の代表と指揮者が中心となって立ち上げた楽団です。創立以来、指揮者が一人でずっと指揮も指導も担い続けるというスタイルで歩んできました。創立時からの指揮者である原田重一さんが2017年に引退された後も、新しい指揮者に練習から本番まで全て見ていただくという形を引き継いで、今も継続して活動しています。 他の楽団さんは、本番の指揮者が練習期間中に数回ほど来て、普段の練習は別の方が見るというスタイルが多いと思います。私たちは創立時から指揮者に練習から本番まで一貫して指導してもらう形を「私たちらしさ」として大切にしてきたので、新しい指揮者をお迎えする際にも同じスタイルをお願いしています。
——一人の方に一貫して見ていただくことで、どのような影響がありますか。
上林指揮者の先生と非常に近い距離で関わることができるので、団員一人ひとりの力量を把握した上で、長期的な視点で曲づくりを進めていただけます。 「ここまでできるようになったから、次はこの曲に挑戦できるのではないか」という提案をいただけるのも、同じ方に長くみていただくからこそだと思います。 前の指揮者の先生とは毎年ベートーヴェンに取り組んでいた時期があり、そうした積み重ねが基礎力の向上につながっていたのではないかと感じています。
——指揮者の先生と楽団の皆様の距離が近いことで、より密な形で音楽を作れているんですね。同じ指揮者の方に長期間見ていただくこと以外にも、横浜管弦楽団の根底にある哲学や、創立から受け継がれてきた思いはありますか。
上林「いろいろ人とつながって、一緒に音楽をつくる」というポリシーが、42年間変わらず受け継がれています。創立当時のチラシを見ると、「一人でバイオリンを持ちながら足でトライアングルをたたいて、もう一方の手で指揮棒を持っている人物のイラスト」があるんです。 「一人でオーケストラはできない」ということを表したものだと思うのですが、そのメッセージは今の私たちにもそのまま生きています。
——「人との繋がり」を象徴するようなエピソードがあれば教えてください。
上林親子二代どころか、三代にわたってつながっている方もいるのが象徴的な話かもしれません。創立時の代表のお子さんが入団してくださったり、現在在籍している方のお子さんが成人して手伝ってくれたりと、「あの子がこんなに大きくなって」という場面が何度もありました。 昔から練習に小さなお子さんを連れてきても良いという雰囲気があったんです。その文化ゆえに、音楽に親しんで育った子どもたちがやがて自分で入団してくる、という流れが生まれているのかもしれないと思っています。
——神奈川県立音楽堂へのこだわりが非常に強いと伺いましたが、そこまで思い入れを持つ理由を教えてください。
上林神奈川県立音楽堂は「木のホール」と呼ばれていて、オーケストラにとって非常に響きの良いホールなんです。神奈川県の指定重要文化財にも指定されています。演奏する側にとっても、聴く側にとっても素晴らしい音響を持った空間で、私たちはずっとここで演奏し続けてきました。 1993年、そのホールが取り壊される計画が持ち上がった際、団として保存運動の陣頭に立ちました。あの時みんなが一生懸命頑張ったからこそ今もここで演奏できているという気持ちは、団員の中にずっと受け継がれています。
——それだけ長く同じ会場を使用していて、会場を変えようという提案が出ることはないのでしょうか。
上林過去には、提案が出たこともありました。人気のホールなので抽選制で、外れてしまうこともあって、やむを得ず別のホールを使ったこともあります。 それでも「間隔が開いてもここでやりたい」という団員の意見がやはり多いんです。あの響きの中で演奏することが喜びであり、演奏者として気持ちの良い体験ができるホールなので、そこでやることが私たちのアイデンティティになっているんだと思います。
——今回の第80回定期演奏会は、オールブラームスプログラムという構成になっていますね。この選曲にはどのような経緯があったのでしょうか。
上林毎回のプログラム作りは、まず団員がやりたい曲を募集するところから始まります。その中で票の多かった曲をいくつか選んで、指揮者の先生と相談しながら最終的な構成を決めていきます。 今回は団員の間でブラームスをやりたいという意気込みが強く、『悲劇的序曲 作品81』、『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77』、『交響曲第4番 ホ短調 作品98』の3曲が並ぶことになりました。 第80回という節目でもあるので、少し大曲に挑んでみようという気持ちもありました。 ヴァイオリン協奏曲を加えたのは、記念の演奏会にふさわしい華やかさを届けたいという思いからです。
——ソリストとして加藤えりなさんがご参加されるとのことですが、どのようなご縁でお招きすることになったのかお聞かせください。
上林2年前にチェロ協奏曲を取り上げた際にお招きしたチェリスト・マルモ ササキさんからご紹介いただきました。マルモさんが素晴らしい演奏家だったので、その方が太鼓判をおしてくださるならと安心してお願いしました。 さらに、私たちの楽団員が加藤さんの演奏会に足を運んで、「ぜひ来てほしい方だった」と強い要望があったことも大きかったです。そのように決まっていくことも、人との繋がりを大事にしている私たちならではではないでしょうか。
——コロナ禍では多くのアマチュア楽団が苦しい状況に置かれましたが、横浜管弦楽団はどのように乗り越えてきましたか。伝統や昔からのこだわりを大事にする楽団がゆえに、苦労も多かったのではないでしょうか。
上林コロナ禍の時期に団員が半数近く辞めてしまいまして、活動も1年近くお休みせざるを得ない状況で、苦しい時期もありました。運営体制が新しくなったタイミングとも重なり、ここからどうしていこうかというところからの再出発でした。 そんな中、まず取り組んだのが、オーケストラに関わる敷居を下げることです。 「今回だけの参加でもOK」というお試し参加の制度を取り入れたり、XやFacebookに練習風景を投稿して、こんな雰囲気で活動していますということをアピールしたりするようになりました。思ったように団員が増えるわけではないのですが、少しずつ前に進んでいるところです。
——どのような方が横浜管弦楽団に向いていると思いますか。
上林真面目にしっかり取り組みながらも、練習前後に団員同士で会話をして、アットホームな雰囲気を楽しんでいただける方が合っていると思います。 毎週練習に来て、音楽を楽しみたいという方であれば、演奏レベルは問いません。古典をじっくり取り上げる機会が多い楽団なので、大きな曲も楽しいけれど古典もいいよね、と思っていただける方にはとても向いているかと。 現在の団員の平均年齢は50代くらいになってきましたが、大学生や若い方もちらほらいらっしゃいますので、幅広い年代の方に関わっていただいています。 ただ、今の指揮者の先生も50代ですし、昭和の話で盛り上がれるような、年齢の近い方はすぐに馴染んでいただける雰囲気です(笑)。
——代表として、今後横浜管弦楽団をどのような団体にしていきたいと考えていますか。
上林親子二代、三代にわたってつながっている団員がいるように、この先もずっと続いていけるオーケストラにしたいです。今は平均年齢が50代ですが、少し若返りを図って、次の世代にバトンをつないでいくことが大きな目標です。 そのためにも、楽しい練習と楽しい本番、そして楽しい本番後——その全てを提供できる運営でありたいと思っています。定期演奏会だけでなく室内楽演奏会も企画しながら、音楽を通じた楽しさをいろいろな形でお届けしていきたいです。
——最後に、横浜管弦楽団が気になった方へメッセージをお願いします。
上林演奏レベルを問わず、幅広く音楽が好きな方を募集しています。気になった方はぜひ楽器を持って見学にいらしてください。 団員たちが温かくお迎えしますので、一緒に音楽を楽しみましょう。 現在は弦楽器全般と、管楽器ではホルンとファゴットを募集していますが、それ以外のパートもまずはお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。 次の演奏会は2026年10月18日(日)、やはり神奈川県立音楽堂で行います。今度のタイトルは『ドレミの誘惑』。人との繋がりを大事に、そして県立音楽堂で重ねてきた私たちの音楽を、ぜひ聴きにきていただけたらと思います。
横浜管弦楽団 第81回定期演奏会
日時:2026年10月18日(日) 13:30開演予定
場所:神奈川県立音楽堂(神奈川県)
指揮: 徳永洋明 ドヴォルザーク: 交響曲第9番「新世界より」 ベルリオーズ: 序曲「海賊」 モーツァルト: 交響曲第35番「ハフナー」
——上林さん、本日はありがとうございました!
(インタビュー・構成/松永華佳)
横浜市南部で活動する団体です。
中の人は、アマチュアオーケストラで打楽器をやっています