
2025年10月11日(土)14:00公演
東京文化会館 大ホール
ウィーン国立歌劇場2025年日本公演
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
フィガロの結婚
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:バリー・コスキー
装置:ルーファス・ディドヴィシュス
衣裳:ヴィクトリア・ベーア
照明:フランク・エヴィン
合唱監督:トーマス・ラング
アルマヴィーヴァ伯爵:ダヴィデ・ルチアーノ
アルマヴィーヴァ伯爵夫人:ハンナ=エリザベット・ミュラー
スザンナ:カタリナ・コンラディ
フィガロ:リッカルド・ファッシ
ケルビーノ:パトリツィア・ノルツ
マルチェリーナ:ステファニー・ハウツィール
バジリオ:ダニエル・イェンツ
ドン・クルツィオ:アンドレア・ジョヴァンニーニ
バルトロ:マテウス・フランサ
アントニオ:クレメンス・ウンターライナー
バルバリーナ:ハン・ヘジン
東京文化会館の修繕前の最後の大型公演。
9年ぶりのウィーン国立歌劇場の引越公演。去年のロイヤルオペラの引越公演(トゥーランドット)があまりにも良すぎて、その時に入っていたチラシを見てから1年待ったウィーン国立。
ほんとは元々、千秋楽の薔薇の騎士だけで良いと考えていたけど、もう一作がフィガロの結婚ということなので、こちらも購入してしまった。
楽しみすぎたのもあり、少々期待外れではあったが、それでも素晴らしかった。
①演出・舞台装置・衣装
一言で言えば、えらくモダンだったな、と。
YouTubeで45年前のウィーン国立歌劇場の引越公演を見て、演出、舞台装置の豪華絢爛さに圧倒されていて、引越公演というのもあり、そのレベルを期待していたのもあるが、良くも悪くもモダンというか。
演出家の名前を追っているほどのオペラウォッチャーというわけではないので、演出家のコスキー氏が元々どんな演出をするタイプの方なのかは知らないのだが、モダンだからといって全てが好みじゃないという意味でもない。
1幕の伯爵家でのフィガロへの新しい部屋の割り当てが、伯爵家の壁の書き割りからスタートしたので、おいおいこんなもんか、みたいなところが無きにしも非ず。ソファーの裏に隠れる、みたいな話が、シーツにくるまって隠れるだけ、みたいな。
衣装はモダンではあって、スザンナの衣装が、言うなれば比較的高級な外資系ホテルの清掃の従業員ぽい服で、ん?とはなったものの、全員勢揃いしてみると悪くはない。第一幕のマルチェリーナのオレンジ色のスタイルが可愛くて好きだった。
2幕、3幕の舞台装置は、箱庭っぽいのだが、それなりに豪華で魅力的ではあった。特に2幕の伯爵夫人の寝室は期待していた豪華さというか。そして、衣装は、2幕の何より伯爵夫人ロジーナの黄色のナイトガウンがめちゃくちゃ可愛いし、伯爵の青のベロアのスーツは華やかで素晴らしかった。
ケルビーノの演出はあんま見てられないというか。ケルビーノは少年役を女性が演じるという、そもそもの無理無理感があるわけだが、第二幕でケルビーノに女装をさせるシーンで男性用パンツを脱がせて、女性用の下着を履かせる演出あたりで、要するに端的に、女性が無理矢理下着脱がされて、下半身下着だけみたいな状況になり、妙に生々しいというか。
4幕の伯爵邸の裏庭の草むらというか森というかの書割りが、なんとも。
森を平面で見せて、そこに蓋付きの穴を空けて、俳優が出入りすることで、役相互の関係が俯瞰できる、ってことなんだろうけれど、もうちょいどうにかならんもんか。モグラ叩きじゃないんだからw
黒の喪服衣装で出てきた夫人が、最後移り気な伯爵を許して終わるわけだが、黒の衣装なところがメッセージ性強いというか。第二幕で華やかな黄色のナイトガウンを着ていた夫人が黒で終わるので、まぁ浮気は許したとて、その後の婚姻生活ってのは難しいものですよ、的な。
②歌
総じて、女性優位な感じ。
フィガロの結婚は、性にアクティブな伯爵を揶揄い、改心させることが本筋のオペラだし、本当のメインはやっぱり伯爵と夫人で、この二人が素晴らしければ成立するオペラだとは思った。そして、スザンナは代役だったんだけれども、声はよく出るし、本当に素晴らしかった。
要は、フィガロが微妙。声は細いし籠ってるし。なんやかや、フィガロが軸ではあるので、ここの線が細いと、オペラ全体の広がりに欠けるというか。
ケルビーノの歌を絶賛する向きは多いが、正直演出過多すぎて、ケルビーノの良さには気づかなかったというか。
③オケ
ワシ的には、結局は、オケが素晴らしければ、全てはOKみたいなところが無きにしも非ず。
冒頭、あの序曲が、ウィーン国立歌劇場のオケの音で鳴っただけで笑顔が溢れるというか。
ド・ビリーがオケをしっかりまとめあげ、オケ自体の音があたたかく厚みがあり、モーツァルトの魅力を味わわせてくれた。
まぁ、今年は、河口湖といい、良い音楽体験ができている。
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