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2025/06/04
フルートとアイリッシュハープ。その優しく澄んだ音色が重なり合うとき、聴こえてくるのは、穏やかさや懐かしさ、そしてどこか冒険心をくすぐるような“物語”のような音楽です。 2023年に結成されたDuo Serenaは、クラシックから民族音楽、日本の唱歌や映画音楽まで、ジャンルの垣根を越えて100曲以上のレパートリーを育んできたユニット。フルートに加え、アイリッシュフルートやオカリナ、歌といった多彩な音の表現で、心にすっと届く音楽を紡いでいます。 「音楽は難しいものじゃない。日常に自然と溶け込むもの」 そんな想いのもと、小さなホールやギャラリー、福祉施設や保育園など、聴き手との距離が近い場所での演奏を大切にしてきた彼女たち。彼女たちがどのように出会い、どんな風に音楽をつくり、届けているのか、そしてこれからの夢についてじっくりと伺いました。
——まずは、お二人の出会いや「Duo Serena」結成のきっかけを教えてください。
岡田当時、コロナ明けで仕事を一区切りつけたタイミングでした。自分の時間ができたことで、改めて演奏活動を本格的に始めたいと思っていて、パートナーを探していたんです。そんな中でくららさんと出会って、初対面のときからすごく素敵な方だなと感じました。
くらら初めて顔を合わせたときに、フルートとハープの組み合わせにひらめきを感じたんです。昔から好まれてきた編成でもありますし、「一緒にできたら素敵だな」という想いが自然に湧いてきて、ぜひ一度ご一緒できたらと。
——運命的な出会いだったんですね。Duo Serenaとしての音楽には「日常に溶け込むような音楽を届けたい」というメッセージがありますよね。お二人の音楽の特徴や、こだわっていることについて教えてください。
くらら私たちの強みの一つとして、演奏場所に合わせて柔軟に楽器の組み合わせを変えられるのが特徴です。フルートとアイリッシュハープを軸に、アイリッシュフルートやオカリナ、歌も取り入れています。小さなスペースやサロン、福祉施設など、クラシック専用のホールでなくても、音楽を届けられる編成なんです。
岡田自分たちで持ち運べる楽器ばかりなので、身近な空間で演奏できるという点も強みだと思っています。音楽を堅苦しいものではなく、暮らしに寄り添うものとして感じてもらえたら嬉しいですね。
——少し照れくさいかもしれないですが、ぜひお互いに惹かれている部分、尊敬しているところについても聞かせてください。
岡田くららさんのハープの音色も歌声も本当に美しくて、いつもリスペクトしています。くららさんの歌うヨーデルを初めて聴いたときには本当に感動して、そこから民族音楽への興味が一気に広がりました。音楽の世界を広げてくれた存在だなと思っています。
くらら岡田さんは、フルートの音色がとても素敵で、さらにオカリナもいろんな種類を吹きこなせるんです。私には吹けない楽器なので、チャレンジ精神や表現力の幅の広さにいつも驚かされています。それに、音楽に対してとても前向きで、音楽が自然と進んでいく感覚があるんです。
——お互いに違う強みがあるからこそ、二人だけの素敵な音楽が創り出せるんですね。コンサートを企画される際は、どのようにテーマや曲を決めているのですか。
くららその都度、ひらめきから始まることが多いです。実は最近のコンサートでは、私が「こんなコンサートがしたい」と思い描いた内容で、まずチラシを先に作ったんですよ。私たちはクラシックを学んできた共通のバックボーンがありつつ、民族音楽にも興味があるので、その二つの世界を行き来するような内容にしたくて。ひらめきと対話の中で、自然と形になっていきます。
岡田毎回、リハーサルのときに「今回は何を演奏したいか」を話し合って決めるんです。くららさんのご自宅に楽譜がたくさんあるので、実際に譜面を見ながら、「これいいね」「この曲またやってみよう」と選んでいきます。
——チラシから先に!それは珍しいアプローチですね。演奏活動の中で、苦労されたことや大変だったことはありますか。
くららお互いに教える仕事もしているので、練習時間の調整は大変ですし、何よりPR活動がエネルギーを使いますね。企画から広報、演奏まで全部自分たちでやっているので、スケジュールを合わせるのも難しいです。
岡田演奏面だと、アイリッシュハープは転調に制限があって、クラシック曲を演奏するときに工夫が必要なんです。私がフルートでつないだり、お互いにカバーし合って曲を仕上げています。オカリナも1つの楽器では音域が狭いので、持ち替えが必要になります。そのときもくららさんに繋ぎをお願いしたりして、支え合いながら演奏しています。
——Duo Serenaとして、これから挑戦していきたいことはありますか?
くららレコーディングや映像作品への展開も考えています。音を記録として残すこと、より多くの人に届けることにも関心があって。
岡田例えば、誕生日会やカフェなどのプライベートな空間にも出張して演奏できたらと思っています。私たち自身が想像していなかったような場所で演奏する機会があれば、ぜひ挑戦してみたいです。どんな空間でも、自然と溶け込む音楽を届けたいという気持ちはこれからも変わらないので、お気軽に声をかけていただけたら嬉しいですね。
——ありがとうございました!Duo Serenaのお二人の音楽が、もっと多くの人の日常に響くことを願っています。
Duo Serenaのお二人が奏でる音楽は、クラシックや民族音楽といったジャンルの枠を越えて、聴く人の心にそっと寄り添う“感じる音楽”です。楽器の特性を活かし、お互いに補い合いながら紡がれるアンサンブルは、まるで呼吸を合わせるように自然であたたかく、日常の中にそっと響きます。 ハープと笛の音色、そして歌が重なり合う音楽は、ときに癒しを、そしてときに冒険のようなワクワクを届けてくれます。 「音楽は特別なものではなく、暮らしのそばにあるもの」――そんな想いを大切にしながら、お二人は今日も新しい演奏のかたちを模索し続けています。 どんな場所でも、どんな世代にも、やさしく寄り添うDuo Serenaの音楽。その響きに、ぜひ一度、耳と心を傾けてみてはいかがでしょうか。 YouTube www.youtube.com/@SerenaDuo Instagram https://www.instagram.com/duo_serena/
Duo Serena フルート&アイリッシュハープ デュオコンサート
日時:2025年10月19日(日) 14:00開演
場所:カデンツァコンサートサロン(東京都)
詳細 : https://www.concertsquare.jp/blog/2025/2025051159.html
カデンツァコンサートサロンで開催されるDuo Serenaフルート&アイリッシュハープデュオコンサート。親密なサロン空間に、岡田知里が奏でる透明感あふれるフルート&オカリナの響きと、くららが紡ぐ繊細なアイリッシュハープの調べと歌声が響き渡ります。曲目は多彩なクラシック名曲から、歌やお話を交えたプログラムで構成され、演奏とトークが一体となった豊かなひとときをお届けします。
(インタビュー・構成/松永華佳)
中の人は、アマチュアオーケストラで打楽器をやっています