バッハの作品の中には、3歳上の兄ヨハン・ヤコブがスウェーデン王カール12世の軍楽隊に属するための旅立ちに書いたものがあります。カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちによせて」。この中でバッハは旅先でどんな危険な事があるかを説き、どうしても行くのかと嘆き、避けられない別れを受け入れて見送る決意をするのです。
バッハの兄のような次の門出へ向けた前向きな旅立ちによる別れもあれば、もう直ぐ自分の人生が終わる事による別れ、あるいは最愛の家族を見送る事による別離もあります。
死別が間近に迫った遺書のようであっても自分の人生を総括できれば、清らかで美しい作品に仕上げる事ができる…それをやり遂げたのがベートーヴェンでしょう。対して戦争により引き裂かれた最愛の家族との悲劇的な別れも、作品に落とし込めば恐ろしくも愛おしい音楽になると作曲したのがフランスの作曲家ヴィエルヌになります。
作曲家達の多様な別れに対する向き合い方を感じ取っていただければなと思います。

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