音楽は私のユートピア──松本裕香が紡ぐ「ニッチ」と「草の根」2つの音楽世界
エルガーのピアノ5重奏曲にフィンジの作品——「だいぶオタクな選曲だと思います」。9月10日に開催される自主企画公演について、松本裕香さんは笑いながらそう表現します。
そんなニッチな選曲のコンサートとは打って変わって、松本さんは鎌倉で高校生以下の子どもたちに無料で音楽を届ける「キホユカプロジェクト」も展開しています。
一見対照的に見える二つの活動。しかし、その根底には「音楽はユートピア」「音楽は道具」という松本さん独自の哲学が流れています。13年間のヨーロッパ留学で培った音楽観と、幼少期に出会った魔法使いのようなバイオリニスト・ギトリスとの衝撃的な体験が育んだ、彼女の音楽世界に迫りました。