ショパン『ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11』(室内楽版)・『チェロソナタト短調 Op.65』
以外に光を当てたコンセールオランジュ
ピアノ・ヴァイオリン・ヴィオラで演奏する珍しい編成ながら、名手を集めたコンセール
オランジュのコンサートは隠れた名曲を見つける絶好の機会となりました。
前半の6曲から、まずはモーツァルト『ヴァイオリンソナタ第32番』。この曲ではヴァイ
オリンが無難にこなした一方で、ピアノがクリアな表現を見せていました。グリュミオー/
ハスキル盤のような鮮やかな表現ではないが、品位と抑制を感じさせるデュオでした。
次にエルンスト『シューベルトの「魔王」による大奇想曲』。原曲のピアノ・パートも
再現している為、曲の輪郭が分かり難いと思えるが、ヴァイオリンと格闘する様子は聴き
応えがありました。
そしてブラームス『ヴィオラソナタ第1番』。私はプリムローズ盤の陰影深く弓の運びで
激しさが増す演奏に耳が慣れているのですが、石毛美穂さんの優しく静けさ一杯の第2
楽章を聴いて、親密な温かさを感じさせる演奏と思えました。
後半の11曲から、まずはショパン『小犬のワルツ・エオリアンハープ・革命・英雄ポロネ
ーズ』。前の3曲は流石でしたが、英雄ポロネーズはどうか。私はパデレフスキの力強い
勇壮なリズムに耳が慣れているのですが、テンポが加速気味になる所が上手い下手では
なく、一風変わったショパンと思えました。
次にショパン『ピアノ三重奏曲』。この曲では第1楽章でコンチェルトのようにピアノが
活躍する印象を受けたのですが、YouTube動画のボザール・トリオが大げさなのではなく、
確かに楽譜にrubato・ritenと書き込まれているのを忠実に守っているのと趣が異なると
思えました。しかし、第2・3楽章を経て第4楽章で盛り上がりを見せた後、力強く終わっ
て感動しました。
このように、永野光太郎さん・三枝剛志さんの卓越した演奏技術に頼るところが大きい
ですが、後からついて行くことの無いように、より良い演奏を目指して欲しいです。
2025年06月24日 12:15